【阪神・淡路大震災に学ぶ】減災、被害最小化…防災のプロが教える災害への備えとは?
我が家の防災力を強化する
■我が家の非常用かばんは大丈夫?災害後も見据えた備蓄の重要性
『まるごと防災』では、地震や火災対策のみならず、災害後の救助を想定したものや備蓄商品も多く用意している。そのラインナップから、一般家庭向けにい
くつか紹介してもらった。まずは緊急時には担架にもなるという毛布があるのだが…。
「例えば階段などの狭いスペースだと、一般の担架は小回りが効かず使用できないケースがあります」
この『もうたんか』は端の数カ所に穴が開いており、緊急時には数人が穴に手を差し込んで持ち上げることで、簡易担架に早変わりする。これならば、狭い屋内で担架が通れない状況でも対応できる。しかも、真空パックにより省スペースでの保管が可能となっている。
他にも、日常生活に欠かせない意外な領域についてもカバーしている。実は被災地で問題になるのがトイレだ。国連等の基準によれば、災害発生当初は避難者50人に対し1基のトイレが必要とされているが、果たしてこの基準が満たされているか、はなはだ疑問だ。
袋式の『マイレット』は、そうした非常時に有用な簡易トイレ。悪臭の脱臭能力、静菌能力などが3カ月持続し、もちろん焼却も可能である。災害時とは〝日常〜状況〟日常的な行動が著しい規制を強いられる状況であるということを理解しておこう。
防災力アップのPOINT ❶「屋内」は自助領域だと認識する ❷地震は家具転倒、火災は延焼を阻止する ❸救助や災害後も想定して備蓄する
■正しく恐れて対策する〝自助〟でできることは多い
さて、このように現代の防災グッズが様々に工夫され、進化していることはご理解いただけただろう。しかしその一方で、日本人の防災意識はなかなか高まっていないと岸本さんは警鐘を鳴らす。
「防災力の高い商品開発とともに、それらをどう提言し普及させていくかが最大の課題だと考えています。正常性バイアス…つまり、災害が起きても『自分だけは大丈夫』と思っている方が多いのです。一方で、人によっては『死ぬときは死ぬから』と達観してしまったり、防災意識がなかなか向上しません。ぜひ、正しい知識と備えによって、救える命があることを知っていただきたいですね」
ちなみに『まるごと防災』としては今後、ガラスの飛散防止への対策をしたいと話す。
「大きな揺れ、うねりを受けると、窓枠に歪みが生じて、窓ガラスが割れてしまいます。ご家庭では裸足で過ごす方が多く危険ですし、ガラスが飛散したら動けません。強化ガラスなどの普及もまだ進んでいませんので、今後のまるごと防災に追加したいですね」
■想定外を想定して被害を最小化 家族と家を守る
自然災害に備えて、『ハザードマップ』(災害時の被害予想地図)とタイムラインの重要性が叫ばれている。自分が住む地域で地震が起きた場合は、二次災害も想定してこう避難しましょうと自治体が声高に広めている。
「しかし、それはどう〝逃げるか〟という問題とその解決策であって、被害を〝どう軽減するか〟や、避難先で〝どう暮らすか〟などは、個々人が準備し
ておくべきことなんです。〝自助〟の範囲で、できることをしていこう─もっとできることはあるはずです。『まるごと防災』もそのためのものなので
す。ぜひご活用ください」
残念ながら、災害への備えに正解はない。そして、どれだけ準備しても完全とは言えないかもしれない。しかし、まずはできる準備をして、被害をミニマムに
抑えようという行動を、災害大国ニッポンの国民は真摯にとるべきだろう。かつての惨劇からの学びと進化する防災グッズによって、大切な家族を守ってもらいたい。
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